看護職賠償責任保険とは?看護保険って何?入るべきなのか保険の種類についても解説
看護保険と呼ばれることもある看護職賠償責任保険について、耳にしたことがある方もいるでしょう。
ただ耳にするものの、実際に保険に入った方が良いのか、そもそもどのような保険なのかよくわからないという方もいるかもしれません。
看護師としてキャリアを積んでいく中で保険について知っておくのは大切なことです。
今回は看護職賠償責任保険制度について、そもそもどのようなものなのか、また入るべきなのかも解説します。また保険の種類についても解説していくので加入を悩んでいた方は参考にしてください。
- 看護職賠償責任保険制度は看護師の法律上支払いが必要な費用を補償してくれる制度。
- 看護職賠償責任保険制度は、万が一を想定して加入しておくのがおすすめ。
- 制度は協会によって補償金額や補償範囲が異なるため、自分で良いと思ったものを選択するのが良い。
看護職賠償責任保険制度とは?
看護師は働く中でさまざまな責任を抱えながら働いています。
しかし万が一のことがあった際に、法律上費用を負担しなければならなくなる可能性があるでしょう。
その際に必要な費用を補償してくれるのが「看護職賠償責任保険制度」です。
後述しますが、日本看護協会など大手の看護師を支える協会が制度を設けており、対人事故や対物事故を基本としてさまざまな点での費用を補償してくれます。
看護職賠償責任保険には加入した方が安心!その理由とは
看護職賠償責任保険に入らなくても、日々の業務で気をつけていれば良いのでは?と感じている看護師もいるかもしれません。
しかし実際に看護師が賠償責任を求められている裁判事例には、下記のようなものがあります。
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内容 | 看護師の責任 |
---|---|
脳出血により緊急オペ後、入院していた患者が昼食のパンを喉に詰まらせて窒息し、精神障害2級の後遺障害が残ったケース 東京地裁 平成23年(ワ)第27601号 損害賠償請求事件 判決日:平成26年9月11日 | 食事介助の際の観察を怠ったとして注意義務違反が認められた |
患者の滅菌精製水のタンクを消毒用エタノールと取り違えて患者は約53時間エタノールを吸引することになり、アルコール中毒で死亡したケース 京都地裁 平成13年(ワ)第2820号 損害賠償請求事件 判決日:平成18年11月1日 | 医薬品の確認義務を怠ったとして注意義務違反が認められた |
またこれらの判例の際に、弁護士費用や死亡慰謝料などの費用が請求されており、2,000万円以上の請求など、通常の看護師の給料では支払いが困難なほどの莫大な費用の請求がされています。
もちろん医療事故は避けるべき事案であり、起こらないように日々業務をこなすものではあるものの、実際にこういった事例の当事者にならないとは言い切れません。
そして実際に当事者となった場合、現実的ではない費用の請求となるケースもあることがわかるでしょう。
万が一の事態を想定した時に、看護職賠償責任保険には入っておいた方が安心といえます。
3つの看護職賠償責任保険を紹介
最後に3つの看護職賠償責任保険について紹介していきます。
ただしここで紹介する保険は一例です。個々に適した保険は補償範囲などを見定めて自分の選択で選ぶ必要があります。
あくまでも参考としてご覧ください。
日本看護協会|看護職賠償責任保険制度
日本看護協会は日本看護協会の会員限定として看護職賠償責任保険制度を設けています。
今後複雑化していく医療において、看護師が専門職としての責任を問われていく現状を背景として設立されています。
日本看護協会は看護師にとって非常に知名度が高く、日本看護協会の看護職賠償責任保険制度は高い注目度の制度です。
補償内容の例は下記の通りです。
補償内容 | 補償限度額 |
---|---|
対人賠償 | 1事故あたり5,000万円 (補償期間中1億5,000万円まで) |
対物賠償 | 1事故あたり100万円 (補償期間中100万円まで) |
弁護士費用 | 1事故あたり100万円 (補償期間中100万円まで) |
法律相談費用 | 1事故あたり10万円 (補償期間中30万円まで) |
対人賠償や対物賠償はもちろん、弁護士費用や法律相談費用も補償してもらえます。
加入には日本看護協会への加入費用に合わせて、1年間で保険料1,800円と運営費850円の支払いが必要です。また自動更新の制度ではなく毎年の手続きが必要なため、更新手続きを忘れないようにしましょう。
参照:日本看護協会「看護職賠償責任保険制度」
参照:日本看護協会「看護職賠償責任保険制度2024年度版」
一般社団法人日本看護学校協議会共済会|看護師向け賠償責任保険
株式会社メディクプランニングオフィスの運営するWillnextでは、看護師の業務やプライベートまでを補償する保険として看護師向け賠償責任保険を提供しています。
業務中の補償だけではなく、看護師賠償責任保険に入会する際に必須条件となる一般社団法人日本看護学校協議会共済会への加入をすると、インフルエンザなどのプライベートの感染症罹患なども補償してくれます。
補償内容の例は下記の通りです。
補償内容 | 補償限度額(Aプラン | 補償限度額(Bプラン) |
---|---|---|
対人賠償 | 1事故あたり5,000万円 (補償期間中1億5,000万円まで) | 1事故あたり1億円 (補償期間中3億円まで) |
対物賠償 | 1事故あたり50万円 (免責金額なし) | 1事故あたり100万円 (免責金額なし) |
感染見舞金制度 | 入院・通院・待機期間の日数に応じて8千~5万円 ※一般社団法人日本看護学校協議会共済会の共済制度 | 入院・通院・待機期間の日数に応じて8千~5万円 ※一般社団法人日本看護学校協議会共済会の共済制度 |
加入には保険を提供する一般社団法人日本看護学校協議会共済会への加入が条件となっていることと年間費用の支払いが必要です。
年間の費用はAプランとBプランで分かれており、Aプランは2,980円、Bプランは3,440円となっています。
ナース専科|看護職賠償責任保険制度
ナース専科が提供する看護職賠償責任保険も、ネットでの手続きが簡単で注目されている保険の一つです。
保険を利用するに当たって年会費などは必要なく掛金のみで保険に加入できます。
補償内容の例は下記の通りです。
補償内容 | 補償限度額(Aプラン) |
---|---|
対人賠償(身体障害) | 1事故あたり5,000万円程度 (保険期間中1億5,000万円まで) |
対物賠償(財物損壊) | 1事故あたり50万円程度 |
人格権障害 | 1名あたり50万円程度 1事故あたり100万円程度 (保険期間中100万円まで) |
初期費用 | 1事故あたり250万円程度 |
十分な補償がついていながらも、年間1,580円という掛け金の安さも魅力です。
フリーランス看護師や副業を行う看護師にも看護職賠償責任保険は活用できる?
フリーランス看護師や副業を行う看護師の方の中には、看護職賠償責任保険について気になっている方もいるでしょう。
ここまで紹介した3つの保険について、詳しい補償範囲は下記の通りです。
取扱会社 | 補償範囲 | 可否 |
---|---|---|
看護協会保険 | フリーランス・副業 対物(医療機器) 災害・ボランティア | ◯(保助看法における看護業務に限定) ◯ ◯ |
Willnext | フリーランス・副業 対物(医療機器) 災害・ボランティア | ◯(保助看法における看護業務に限定) ◯ ◯ |
ナース専科 | フリーランス・副業 対物(医療機器) 災害・ボランティア | ◯(保助看法における看護業務に限定) △ × |
※2024年1月12日各サービスの問い合わせ先に電話して確認
上記の補償範囲についても合わせて検討して、利用する保険を検討してみましょう。
まとめ
ここまで看護職賠償責任保険制度について、そもそもどのようなものなのか、また入るべきなのか、おすすめの保険についても合わせて解説しました。
看護師として長期的に働いていくためにも自分自身を守るために保険に加入するのが良いでしょう。
またフリーランス看護師や副業看護師といった働き方をしていく方にとっても、看護職賠償責任保険制度への加入は非常に重要です。
当協会としてはフリーランス看護師や副業看護師で活躍する場合、看護職賠償責任保険に加入することを推奨しております。
「フリーランス看護師について知りたい」「興味がある」「やってみたいかも」という方は、ぜひ当協会ホームページをチェックしてみてはいかがでしょうか。