ギグワークとはどんな働き方?看護師でもギグワーカーになれる?
働き方の多様化が進んでおり、国も副業や兼業を促進している流れがありますが、「ギグワーク」という言葉をご存知でしょうか。
ギグワークとは雇用関係を結ばない単発や短時間の働き方を指します。
副業やフリーランスという働き方が注目を浴びる中で、「ギグワーク」という言葉も注目され始めています。
今回はギグワークとはどのようなものなのか、ギグワークの種類やメリット・デメリット、また看護師でもギグワークを行うギグワーカーになれるのかについて解説していきます。
さまざまな働き方に興味のある看護師の方は、ぜひ最後までご覧ください。
参照:厚生労働省「副業・兼業|副業・兼業の促進に関するガイドライン」
- ギグワークは、雇用関係を結ばない単発や短時間の働き方。
- ギグワークでは自由な働き方や仕事の選択肢があるものの、社会保障の面ではまだまだ不安が残る働き方。
- 医療現場や介護現場でギグワーカーとして働ける求人もある。
ギグワークとは?どんな働き方?
ギグワークとは、雇用関係にこだわらずに「単発」や「短時間」だけ勤務する働き方です。
ギグワークは「ギグ(Gig:単発・短時間の)」と「ワーク(Work:仕事)」を組み合わせた言葉であり、ギグワークを行う人を「ギグワーカー」と呼びます。
ギグワーカーは主に、インターネット上のプラットフォーム上で仕事を行う働き方です。
ここではさらにギグワークについて詳しくみていきましょう。
ギグワークの種類
ギグワークは大きく分けると下記の2つに分けられます。
- 雇用型ギグワーク
- 業務委託型ギグワーク
それぞれ簡単に解説していきます。
- 雇用型ギグワーク
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雇用型ギグワークは、短期間または特定のプロジェクトの間だけ企業に雇用される働き方です。雇用期間中は企業と雇用契約を結ぶため、社会保険や雇用保険などの福利厚生の恩恵を受けることができます。
仕事の内容や期間、勤務地などが事前に明確に定められているため、安定した労働条件のもとで働けるのも特徴です。
- 業務委託型ギグワーク
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業務委託型ギグワークは、労働者が独立した業務委託契約を結び、特定の業務やプロジェクトを完成させる働き方です。この形態では、労働者は発注先と業務委託契約を締結し、個人事業主として働きます。
スキルや専門性に応じて仕事を受注することで、高単価で業務を請け負うことも可能です。しかし、労働基準法が適用されないため最低賃金や休憩時間などは保障されないため、個人で適切な保険に加入する必要があります。
看護師の方へおすすめの保険については下記の記事で紹介しています。
看護職賠償責任保険とは?看護保険って何?入るべきなのか保険の種類についても解説看護保険と呼ばれることもある看護職賠償責任保険について、耳にしたことがあるものの、どのような保険なのかわからないという方もいるかもしれません…※勤務条件などによってはギグワークと定義される仕事もありますが、フリーランスとギグワークの境界が曖昧な場合もあります。
ギグワークは単発バイトやフリーランスと何が違う?
ギグワークはまだ知名度もあまり高くないため、単発のアルバイトやフリーランスなど他の働き方と混合されて考えられやすいです。
下記で混合されやすい働き方とその特性をまとめました。
働き方 | 特性 |
---|---|
単発アルバイト | 発注先と労働者との間で雇用関係がある |
単発派遣 | 派遣会社と労働者との間で雇用関係がある |
フリーランス | 発注先からプロジェクト単位で仕事を請け負う |
ギグワーカー | 発注先から時間単位の仕事を請け負う |
ギグワーカーはアルバイトや派遣、フリーランスと似ている点もありますが、上記のように異なる点もあります。
ギグワークが普及した背景と抱える課題
ギグワークの普及背景には、テクノロジーの進化が大きく影響しています。
インターネットが普及し、場所や時間に縛られずに仕事ができるようになったこと、さらに、ギグワーカーと仕事を提供する企業を繋ぐプラットフォームが広まったことが挙げられます。
また、前述のように働き方改革の推進により副業が容認されるようになったことも、ギグワークを選ぶ人が増えた理由です。
しかしギグワーカーの増加に伴い、彼らを保護する法整備の不足が課題として浮かび上がっています。
アメリカではギグワーカーの保護を目的とした法整備が進んでいる一方で、日本を含む他の国々では、ギグワーカーを守るための制度が十分ではない状況です。
このギャップは、ギグワークを取り巻く最大の課題となっています。
ギグワーカーとして働く
メリットとデメリット
ここではギグワーカーとして働くメリットとデメリットを解説していきます。
ギグワーカーとして働こうと検討している方は、ぜひ参考にしてください。
ギグワーカーとして働くメリット
ギグワーカーとして働くメリットは以下の通りです。
- 自由な時間に働ける
- やりたい仕事内容を選んで働ける
- スキルや経験を活かせられれば高時給も期待できる
それぞれ解説していきます。
- 自由な時間に働ける
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ギグワークの最大の魅力の一つは、自由な時間に働ける点です。
従来の日勤帯の勤務である9時から5時といった勤務体系に縛られず、自分のライフスタイルやプライベートとのバランスを取りながら、仕事を選ぶことができます。自由な時間に働ける点は、家庭と仕事を両立させたい人や、隙間時間の副業として収入を増やしたい人にとって大きなメリットといえるでしょう。
- やりたい仕事内容を選んで働ける
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ギグワークでは、自由に自分の興味や専門分野に合った仕事を選択できます。
個々のスキルや経験を生かしつつ、さまざまなプロジェクトや業務にチャレンジする機会がある働き方です。
ギグワークでは自分自身のキャリアパスを自由に描くことができます。
またやりたい仕事を選べるといった点からも、一層やりがいを感じて仕事に取り組めるでしょう。 - スキルや経験を活かせられれば高時給も期待できる
-
ギグワークでは、持っているスキルや経験を最大限に活かすことも可能なため、特に、専門性が高い分野や需要の高いスキルを持つ場合では、高い報酬を得られる場合もあります。
専門分野の知識やスキルを持っている方は、ギグワークで効率的に収入を増やしながら、自分の能力をフルに活用できるでしょう。
ギグワーカーとして働くデメリット
ギグワーカーとして働くのにはメリットもありますが、下記のようなデメリットも考えられます。
- 収入が不安定になりやすい
- 業務における事故では労災が適応されず自己負担
- 十分な社会保障を受けられない
それぞれ解説していきます。
- 収入が不安定になりやすい
-
ギグワークでは、仕事によるものの長期的に仕事が確約されていないケースが多く、収入が不安定になりやすいのも特徴です。
基本的に数ヶ月などの期間が決まっている場合が多く、期間が終了となったらお仕事も終了となります。
そのため次の仕事が決まっていないとその間無給ということになってしまいます。終了期間が決まっており延長の見込みがないようであれば、次の仕事を早めに探しておくというのも収入への不安を埋めるための1つの方法です。
- 業務における事故では労災が適応されず自己負担
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ギグワーカーは雇用契約を結んでいないため、万が一の事故が生じても労働保険(労災)が適用されません。
業務中の事故などは自分自身で負担しなければならないため、もし別途保険などへ加入していない場合は、多額の支払いをしなければならないケースもあり得るでしょう。
- 十分な社会保障を受けられない
-
ギグワーカーは雇用関係を結んでいないため、十分な社会保障を受けられない可能性があります。
前述のような労災が受けられない点や、国民年金や健康保険が全額自己負担となり多額の支払いに圧迫されてしまう状況も起こりかねません。また最低賃金よりも低い賃金で働くケースが生じる場合もあり、労働基準法で守られていない点は大きなデメリットかもしれません。
働く上でのリスクを考えて入れる保険に加入してみるのも良いかもしれません。
ギグワークの具体的な求人例を紹介!
看護師でもギグワークはできる?
最後にギグワークといってもどのような求人があるのかイメージがつかないという方のために、具体的な求人の例を紹介します。
また看護師でもギグワークは可能です。
実際にどのようなギグワークの求人があるのかも解説します。
看護師でもギグワーカーとして働きたいと考えている方はぜひ参考にしてください。
代行業務
代行業務は、主に生活を便利にする様々な代行サービスを指します。
具体的には、下記のようなものがあります。
- フードデリバリーサービス
- 運転代行や送迎代行サービス
- 料理や掃除などの家事代行
- ベビーシッターやペットシッターの提供
- マンションの共用部の清掃
- 大型家具の組み立て代行 など
代行業務は、特定のスキルや資格を必要とするものから、比較的簡単な作業まで幅広くあり、個々の能力や都合に合わせて働き方を選択できるのが特徴です。
また、代行業務は需要が高いものの人手不足となるケースも多いため求人も多い傾向にあり、安定した収入を得ることが期待できます。
飲食・販売・単純作業など
代行業務以外にもギグワークの求人は、下記のように多岐にわたる業種でみられます。
- 飲食店・コンビニエンスストア・スーパーマーケットでの勤務
- データ入力・文字起こしなどのオフィスワーク
- 引越しや工場・倉庫での軽作業 など
これらの業務は、勤務時間や場所に柔軟に対応できる人、または短期間で収入を得たいと考えている人に最適といえるでしょう。
特に飲食や販売の分野では、人との接触が多いためコミュニケーションスキルを活かせるのも特徴です。
一方で、データ入力や文字起こしなどの単純作業は、特別なスキルを必要とせず人との関わりもほぼない業務のため、コミュニケーションが苦手な方でもパソコンがあればすぐに働き始められるでしょう。
スキル・知識を活かす業務
ギグワークでは、下記のような自分自身のスキルや知識を活かせる求人が多く見受けられます。
- 翻訳や通訳
- 記事執筆
- Webサイト制作やプログラミング
- 動画編集
- 英会話講師やスイミング講師などのコーチング
- 財務や税務のコンサルティング など
また医療現場や介護現場などでも、産休や育休の穴埋めや人手不足の補充のためのギグワーク求人もあるため、看護師も介護スキルを活かしたり看護の技術を活かしたりすることも可能です。
シェアフルやカイスケといったアプリツールは、特に介護や医療など看護師が活躍できる求人が多く取り扱われているため、ぜひチェックしてみてください。
まとめ
ここまでギグワークとは何かという解説やメリットとデメリット、また看護師でも働ける例も交えた具体例についても紹介しました。
さまざまな働き方が選ばれるようになってきた中で、ギグワークもこれからさらに選択肢の一つとして注目されていくでしょう。
ただし現状の国の制度では、ギグワークの働き方は社会保障面で懸念を感じる部分も多くあります。
もし現在働き方に悩んでいる方や、キャリアについて悩んでいる方はフリーランスや副業という選択肢を考えてみるのも良いかもしれません。
「フリーランス看護師について知りたい」「興味がある」「やってみたいかも」という方は、ぜひ当協会ホームページをチェックしてみてはいかがでしょうか。